建設現場において「足場点検」は、作業者の安全を守るために欠かすことのできない作業です。しかし、実際には「何を点検するべきか」「どこをどう見れば安全なのか」が曖昧なまま使用されてしまう場面も少なくありません。足場は一見しっかり組まれているように見えても、沈下、緩み、脱落、過負荷など、さまざまな危険が潜んでいます。
こうしたことを踏まえ、全国仮設安全事業協同組合では、足場等に係る安全対策について を作成しており、足場点検の重要性は工事の品質を担保する上で欠かせないものとなっています。
そこで、本記事では、現場の安全管理に携わる方に向けて、実務で役立つチェックポイントを10項目にまとめ、紹介していきます。
足場点検が必要な5つの理由とは
足場点検は法律で義務付けられており、安全上も最も重要な作業のひとつです。まずは点検が求められる理由と、基本的な考え方を整理しておきましょう。足場点検は、以下のような事故を防止するために必須です。
- 作業員の転落事故
- 足場全体の倒壊
- 部材の脱落・落下による第三者災害
- 荷重オーバーによる破損
- 気象変化(強風・大雨)による緩み
足場は毎日、気温・湿度・荷重・振動など多くの影響を受けるため、“昨日まで安全だった” は通用しない設備です。それでは足場に親しみのない方でも身近に感じられるよう、「足場点検のタイミング」「チェックポイント」「チェックリスト」の3つの順番で詳しく紹介してきます。
足場点検が必要な5つのタイミングとは
足場点検が必要がタイミングをまとめると下記のとおりとなります。
| 点検の種類 | タイミング | 主な目的 |
|---|---|---|
| 組立完了時点検 | 足場完成直後組立後 | 設計通りに組み立てられているか確認 |
| 作業開始前点検 | 毎日 | その日に使用できる状態か |
| 随時点検 | 定期 | 気象条件で緩みが出ていないか |
| 変更後点検 | 悪天候及び地震等天災後 | 強度が維持されているか |
| 解体前点検 | 一部解体及び変更後 | 転落・崩壊リスクの確認 |
この5つを基本に、日常点検を積み重ねていく必要があります。
足場現場で確認すべき10個のチェックポイントとは
ここからは、点検で外せない20の項目のチェックポイントを具体的に解説していきます。
- ジャッキベースの沈み・浮き
ジャッキベースは足場の命ともいえる基礎部分です。
沈下や傾きがあると、上層にいくほど揺れが大きくなります。 - 建枠(フレーム)の組立方向と精度
フレームの上下逆、方向の誤りは強度不足を招きます。 - ブレース(筋交い)の緩み・脱落
ブレースは足場の耐震性・耐風性を保つ最重要部材です。
正しく取り付けられているか確認しましょう。 - 手すり(上段・中段)の設置状況
手すりは転落事故を防ぐ最も基本的な設備です。
「手すりがないから落ちた」という事故は全国的に多発しています。 - 床板のガタつき・浮き・隙間
床板の不良は転倒・落下の重大事故につながります。
床板が確実に固定されているか、隙間はないかを確認しましょう。 - 巾木(つま先板)の設置状況
高さ90mm以上の巾木が設置されており、隙間がないかを確認しましょう。 - 荷重制限の遵守(最大積載荷重)
足場は資材置き場ではなく、作業用設備です。
一スパンあたりの荷重に余裕があるか、資材置き場として使っていないかを確認しましょう。 - アンカー(壁つなぎ)の位置・間隔
アンカーとは、足場全体の倒れを防ぐ重要設備です。
所定の間隔で設置されているか、固定が緩んでいないか、打ち忘れがないかをしっかり確認しましょう。 - はしご・階段の固定状態
昇降中に起こる事故は多く、軽視できません。
はしごの角度が適正か、固定金具が緩んでいないか、階段ユニットがガタついていないかを確認しましょう。 - 手すりの高さ・間隔が適正か
基準値(上段900~1100mm)の確認は必須です。
足場点検 チェックリスト について
足場工事において最も大切なのは、日々の点検と記録を確実に行い、安全性を保つことです。
とくに悪天候後や組立て・一部解体の直後は、わずかなゆるみや損傷が重大な事故につながる可能性があります。現場では「分かっているつもり」になりやすく、忙しさの中で見落としが起きがちです。
だからこそ、項目ごとに確認すべきポイントが整理された“足場点検チェックリスト”を活用することで、作業者全員が同じ基準で点検を行えるようになり、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
そこで足場点検チェックリストについては、仮設工業会で定めた仕様がありますので、改めて別の機会にご紹介させていただきます。
まとめ
足場点検は、作業者の安全確保だけでなく、現場全体の品質管理にも直結します。
本記事で紹介した20項目は、どれも基本でありながら、事故防止効果の高い重要なポイントです。足場は日々さまざまな外的要因を受けるため、“昨日大丈夫だったから今日も安心” ではありません。
毎日の点検こそが、安全で効率的な現場づくりの土台となります。





