足場点検の基本がよく分かる9つのポイント

足場の点検は、毎日の作業の中でも特に重要だと言われています。しかし現場では「どこから確認すればいいのか分からない」「毎日見ているから大丈夫だろう」と、つい感覚的に済ませてしまうことも少なくありません。

足場は、天候や振動、材料の状態など、日々の小さな変化の積み重ねで傷んでいきます。朝は問題がなくても、強風のあとには部材が緩んでいることもありますし、頻繁に上り下りする部分では思わぬ摩耗が進んでいることもあります。だからこそ、毎日の点検が安全確保に欠かせません。といっても、点検を複雑に考える必要はありません。大切なのは、「異常かな?」という小さな違和感に気づける目を育てることです。

この記事では、足場点検のステップを紹介します。

足場点検 9のステップと点検項目とは

足場点検とは、作業員が安心して上り下りできる状態を維持するために、足場の部材や設置状況を確認することです。毎日の簡易的なチェックと、まとまった時間をかけて行う定期的な確認の両方が大切です。特に風が強い日や、長期間使用している現場では、部材の緩みや養生材の破れが発生しやすいため、丁寧に状態を見ることが求められます。

足場点検の目的は、危険を事前に取り除くことです。問題が起きてから対処するのではなく、「事故の可能性を限りなくゼロに近づける」という考え方が基本になります。複雑に考えず、シンプルに「歩ける状態になっているか」「揺れないか」「外れていないか」を確認することが第一歩です。

  1. 足場全体の外観を確認する
  2. 支柱・接続部の固定状態を確認する
  3. 床材(足場板)の状態を確認する
  4. 手すり・中さんの状態を確認する
  5. はしご・昇降設備の安全を確認する
  6. 養生材(メッシュシート・防炎シート)の状態を確認する
  7. 周囲の安全環境を確認する
  8. 天候や作業状況の変化に応じた点検
  9. 点検結果を記録する

1. 足場全体の外観を確認する

足場を正面から見渡し、全体が傾いていないか、大きく歪んでいないかを確認します。その際、部分的に沈んでいる場所があれば、地面の状態や底部の設置方法に問題があることも考えられます。とくに雨や強風のあとには、地盤の緩みや部材のズレが発生しやすくなるため注意が必要です。

外観チェックのポイント

・足場全体が傾いていないか
・部分的に沈んでいるように見える場所がないか
・台風や強風のあとに歪みが出ていないか
・支柱が浮いて見える箇所がないか

外観チェックは、細かい部分を見る前に「全体を俯瞰して異常がないか」を確認するための最も基本的なステップです。違和感を覚えたら、その部分を重点的に確認するようにしましょう。

2. 支柱・接続部の固定状態を確認する

支柱(縦の部材)や、横につなぐ部材がしっかり固定されているかを確認します。しっかり固定されているように見えても、触ってみるとわずかに動いてしまうケースは少なくありません。そのまま使用し続けると、揺れが大きくなり、安全な足場ではなくなってしまいます。

固定状態を見るときのポイント

・手で揺らしてガタつかないか
・接続金具がしっかり締められているか
・サビや変形による締まり不足がないか
・重機や風によって緩んでいないか

固定部分を見るときは、「見た目が大丈夫そう」ではなく、必ず手で触れて揺れを確かめることが大切です。日によって温度や湿度が変わるため、締まり具合にも影響が出ることがあります。

3. 床材(足場板)の状態を確認する

足場板は、作業者が直接歩く部分なので、点検の中でも特に重要な項目です。表面が滑りやすくなっていないか、割れや欠けがないか、しっかり固定されているかなどを確認します。泥やホコリが溜まっている場合は、滑りやすくなるため清掃が必要です。

足場板の点検ポイント

・表面が滑りやすくなっていないか
・泥やホコリが溜まっていないか
・割れや欠けがないか
・固定具でしっかり留まっているか

また、木製の板の場合は湿気の影響を受けやすいため、晴れの日と雨の日で状態が大きく変わることもあります。常に安全に歩ける状態かどうかを目視だけでなく、軽く踏みながら確認することが大切です。

4. 手すり・中さんの状態を確認する

手すりや中さん(中間の柵)は、作業者の転落を防ぐ大切な部材です。しっかり固定されているか、外れている部分はないかを確認します。ぐらつきが少しでもある場合は、その場で締め直すか、担当者に報告しましょう。

手すり・中さんの点検ポイント

・ゆるみがないか
・固定金具が劣化していないか
・高さが適切に保たれているか
・外れかけている部分がないか

特に高所での作業が多い現場では、手すりの状態が事故防止に直結します。「大丈夫そう」ではなく、手で揺らして確認するという習慣をつけることが安全につながります。

5. はしご・昇降設備の安全を確認する

昇降設備は、作業者が毎日繰り返し使用する部分なので、最も事故につながりやすいポイントです。はしごがしっかり固定されているか、ぐらつきがないか、滑り止めが機能しているかなどを確認します。

はしご・昇降設備のチェックポイント

・固定金具がしっかり締まっているか
・揺れがないか
・踏み板が滑りやすくなっていないか
・無理な角度で設置されていないか

昇降部分は利用頻度が高い分、摩耗も早く進みます。点検の際には、いつもと違う揺れがないか、踏み外しそうな段がないかなど、小さな異変にも注意して見ていきましょう。

6. 養生材(メッシュシート・防炎シート)の状態を確認する

養生材は、風よけや粉じん防止の役割を持っていますが、破れやすい素材でもあります。メッシュシートの場合は破れやすく、風の影響を受けやすいため、穴あきや破損がないかを確認します。防炎シートは厚みがある分丈夫ですが、強風の後には固定部が緩むことがあります。

養生材のチェックポイント

・破れや穴が空いていないか
・ロープや留め具が緩んでいないか
・シートが大きく膨らむほど風を受けていないか
・外れかけている部分がないか

養生材は見た目よりもダメージを受けていることが多いため、できるだけ細かくチェックすることがポイントです。

7. 周囲の安全環境を確認する

足場そのものだけでなく、周囲の状況にも注意が必要です。落下物が発生しそうな状態になっていないか、下に人が立ち入りやすいスペースがないか、障害物が足場に接触していないかなどを確認します。

意識したい点検ポイント

・足場の下に不要物が置かれていないか
・作業動線が確保されているか
・歩行者が接触しそうな場所がないか
・近隣との距離に問題がないか

とくに都市部や住宅街の現場では、近隣住民や歩行者の動線も考慮する必要があります。足場の安全は、現場で働く方だけでなく、周囲の方々を守ることにもつながります。

8. 天候や作業状況の変化に応じた点検

強風や大雨のあとは、通常よりも丁寧な点検が必要です。風で養生材が引っ張られ、支柱に負荷がかかっていることもありますし、雨で足場板が滑りやすくなっていることもあります。

意識したい点検ポイント

・強風後の支柱の緩み
・雨で滑りやすくなった板
・養生材の破れや固定の緩み
・振動や荷重によるズレ

また、重い資材を大量に搬入した日などは、部材の緩みが出ることもあります。毎日の点検だけでなく、「状況が変わった時の追加点検」を行う習慣をつけることが理想です。

9. 点検結果を記録する

点検結果は、簡単でもいいので毎回記録に残しておきます。どの部分を点検し、どこに問題があり、どのように対処したのかを記録しておくことで、次回の点検がスムーズになり、状態の変化にも気づきやすくなります。

意識したい点検ポイント

・点検日と天候
・異常があった箇所
・どのように対応したか
・次回点検で確認すべき点

また、点検記録は万が一の事故防止にも役立ちます。記録があることで、安全管理を正しく行っていたことを証明できるため、現場にとって大切な保険のような役割も果たします。

まとめ

足場の点検は、安全な現場づくりの基本です。点検というと専門的で難しいイメージを持たれがちですが、ポイントを押さえれば誰でも実践できます。大切なのは、毎日コツコツ続けることと、小さな違和感を見逃さないことです。

今回紹介した内容を参考にして、現場の安全意識を高めながら、より安心して作業できる環境づくりに役立てていただければ幸いです。

厚生労働省「足場からの墜落災害防止ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062900.html

この記事を書いた人

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